すをばふのおもちゃ箱

2017年1月28日土曜日

マーベルは再び新次元へ「ドクター・ストレンジ」

本日公開の「マグニフィセント・セブン」&「ドクター・ストレンジ」
2つ見た感想をざっくりと。
考察とかは今日はいいや。























マグニフィセント・セブン

言わずと知れた1954年の名作「七人の侍」を1960年にリメイクした「荒野の七人」のリメイク。
正直微妙だった。
みんなのガンマン姿がキマりすぎてて楽しみにしてたけど。
それぞれが戦いに参加する目的や農民との交流がほとんど描かれない為、エンディングのカタルシスがない。
戦う理由の描写がほぼないとこんなにもキャラに感情移入できないんだなと。
デンゼルのキャラはわりかし事情がのみ込めるので好きだった。
西部劇という舞台にそぐわない多国籍チームな理由が少しでもわかればよかったが、人間ドラマが薄いのでそれも微妙で残念。

ただ、ビジュアルが好みというのは本当。
若い人にも西部劇を見てもらう為に、現代風にリメイクするのは賛成だし、このイケてるメンツでドンパチするアクションはとてもよかった。
アバンの悪党の暴虐っぷりからのタイトルロゴがドーンと決戦前の準備シーンが良い。
手放しで称賛したいのは音楽。
本作で作曲を担当したジェームズ・ホーナーはタイタニックでオスカーを獲った実力派。
ただ、作曲の仕事を完遂する前に飛行機事故で亡くなってしまった。
どこまでが彼の仕事で、どこからが引き継がれた仕事かわからないが、インタビューによると曲は書き上げられたものが家に遺されていたらしい。
私はオープニング曲や、劇中に流れるいかにも西部劇な音楽が実に好みだった。
映画に熱くはなれなかったが、エンディングで「あの」曲がかかった時は心でガッツポーズしたくらいだ。
ストーリーから人間ドラマが一切なくなってしまい、人が死んでもなんとも思えない薄いカタルシス作品になってしまったのは残念だったが、文句なしの音楽と今風なアクションはよかった。(やはり銃はシングルアクションに限る)
つまるところ普通の良作アクション映画である。


ドクター・ストレンジ

本日2本目はドクター・ストレンジ。
ここにきて新キャラクターに一本単体で映画を与えるということは、それなりに重要なキャラになっていくのだろう。(原作での立ち位置を考えれば当然だが)
しかし、インフィニティ・ウォー(仮)まで時間はあまり残ってない。
映画を2本使って強くなる暇もなければ、ビギニングをゆっくりやってる時間もない。
2時間以内に未熟な時代、出会い、ヒーローへの覚醒をやらなければいけないというだけあり、やはり脚本にはその辺の苦労が滲んでいた。
一応ストレンジに魔術の申し子的な天才設定があったが、それにしても上達が早い。
映画が終わってもまだそこまで強くない。というか魔法がまだうまく使えないのにカエシリウスとの初戦、第2戦、第3戦&ドルマムゥ戦となだれ込む詰めっぷり。
なのに(NY支部を守ったとはいえ)いきなりマスターの称号を与えたり、かなり時間厳しいんだろうなぁと同情的にすらなった。(あのマントに魔力3倍付与効果でもあるのかと思うレベル)

だが、一番の見所である映像美は本物。
本作の監督、脚本を務めたスコット・デリクソンは熱狂的ファンらしい。
ストレンジの監督をする為に、オーディション選考用の映像に自腹で500万円かけたとか。
その甲斐あって監督に就任。その時の映像アイデアもそのまま使われている模様。(どんな生活送ってたらあんな映像思いつくのか)
言葉にできない万華鏡のような凄まじい映像マジックだった。
テロップのVFX班も凄まじい事になっている。

音楽はマイケル・ジアッキーノ。
もともと好きな作曲家だが、「スターウォーズ」「スタートレック」「MCU」と大ブレイクの年になってるのを感じる。
エンドロールで流れる曲が今までのマーベル映画とは全く違う。
劇伴の編集ではなく、超絶完成度の高い一曲のエンディング曲に仕上がっていた。


エンドロール曲が公式にアップされていた。
公開直前からアップされてたらしく、公式でもやはり自信の一曲らしい。
幻想的な魔術を音で表現しきった80年代サイケデリック・ロックな音楽は、今までのMCUで使われてきた音楽でも一線を画す一曲。
ここまで気に入った劇伴は初めてだ。
MCUの曲で一番好きと断言する。
ぶっちゃけ映像革命よりこの曲に心奪われてしまった。
いくら書いてもこの好きを表現しきれる言葉が出てこないのでここでやめる。
ジアッキーノ天才すぎる。


主演のベネディクト・カンバーバッチは素晴らしいキャスティングだった。
まさに漫画のストレンジがそのまま三次元になったようなビジュアル。(ダウニのトニー・スタークに匹敵する完璧なビジュアル再現と思う)
ストレンジの知性と思慮深さが顔面から滲み出ている。(傲慢で愚かキャラにも関わらず)
監督とファイギがどうしてもカンバーバッチにしたくて、彼のスケジュールが空くまで映画公開を遅らせたという。
その価値は100000000%感じられた。

冒頭、マーベルロゴの第三弾もかっこよかった。
時系列はハッキリ出てこなかったけど、事故る直前の電話で話した「半身不随の空軍大佐」という患者がローディと考えると、シビルウォーのドイツの空港直後の話と考えるべきか。(監督によると何でもあれはローディじゃないらしい。ややこしい)
雷に打たれた女性もそのうち出てきそう。

カマー・タージは魔術師の修行場なのに割と弟子とってるし自由に国に帰れる。
あんな便利な場所、みんな行きたがって有名になりそう。
ストレンジの修行期間は実際どれくらいだったのかな。
アイアンマン2あたりのトニーがワンの修行を受けてたら・・・とかも想像しちゃう。

魔術世界が圧倒的すぎて、アベンジャーズがどう接していくのか想像も出来ない。
マーベルでもかなり異質、魔術や哲学を取り込んだヒーローをどう馴染ませるか。
まあ、マーベルの事だからいつも通りうまく作品のトーンをなじませてくれるのだろう。
地球人ながら超常の存在に到達するドクターストレンジは、きっとガーディアンズみたいな宇宙の人々と、地球のアベンジャーズのいい橋渡しになってくれるはず。

多元宇宙の設定が登場、これも宇宙組に少し世界観を近づけてくれた。(今回でスパイダーバースみたいな別次元のヒーローという漫画的展開も可能にしてしまった気がする)
ガーディアンズの宇宙っぽいビジュアルやアントマンが小さくなりすぎた時に見た異次元の世界など、他作品とつながりそうな要素はいくつか見受けられた。(インターステラーっぽいワームホールも)

ここで2014年公開のガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以下GotG)の凄さを再認識する。
GotGの凄いところは、MCUの世界観を別次元に大幅に拡張しつつ、新ヒーローのビギニングを描き、一本の大作映画として面白さが破綻しない作りで興行的大ヒットを記録する、といういくつもの目標をすべて達成した事だ。
ガーディアンズは日本では全く、海外でもそんなにメジャーなマーベルではなかった。
にもかかわらずこの大役を十二分に果たし、MCUでも随一の大ヒットを記録。
その見事な作りがハリウッド中のクリエイターに「2014年ベスト」と言わしめた。
ドクターストレンジが担う役割も同じだ。
MCUに全くなかった価値観を取り込みながら、ヒーロー誕生秘話を描く。
それは、みんなが馴染んだ世界観の続編を作るよりも大変だろう。
ただの新キャラクターではなく、新次元への拡張の役割をあたえられた新キャラ。
GotGに匹敵するマーベルの新展開となる一作だ。
製作の苦労も計り知れない。
最上級のありがとうを言いたい。

ドクターストレンジはまだまだ未熟だしこれから強くなる。
強いて言えばもっとカンフー見たかったなぁ。(マジックな映像がやはり中心だった)
あと人殺しをしないっていう決意も。
エンシェントワンのラスボス感もよかったのでもっと見たかった。
とにかく2時間でこれまで10年近く築いてきた他のヒーローに追いつけるようにならなければいけないというのは相当の苦労だったろう。
「マイティ・ソー ラグナロク」にも登場しそうなので、そこでまた強くなった姿を見せてくれることを楽しみにしてる。

あと香港のシーンのヤクルト。
結構露骨に広告してたな!
(あとアクション映画オタクならみんな知ってるスコット・アドキンスのマーベルデビュー!)

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